代理店展開は商品・サービスがあればどんな会社でもすることができます。
業種・業態も問わずにできる為、コストを掛けずに行う販路拡大方法としては最適な手法になります。
そこで今回は、代理店展開をする上で準備しておきたいことや注意しておきたいことをまとめました。
【目次】
・代理店を利用するメリット
・代理店展開をする前の心構え
・代理店展開するために必要なもの
・代理店を募集する方法
・代理店に売ってもらう為に必要なこと
・代理店展開を継続して行う為に必要なこと
代理店を利用するメリット
先にも記述しましたが、代理店展開は商品・サービスがあればどんな会社でもすることができます。日本では、スタートアップの企業~大企業まで幅広く代理店を活用しており、その活用方法も様々です。企業が代理店を使う理由は大きく3種類あります。
①代理店には固定給のようなコストが掛からない
②営業時のコストと工数の削減につながる
③想定外のニーズを発見できる
①代理店には固定給のようなコストが掛からない
コスト面は代理店展開における最も魅力的な部分です。通常は、営業人員を増やそうとすれば営業社員を採用することになります。すると、当たり前の話ですが、採用した人数に比例して人件費が増加していきます。しかし、代理店の場合にはこうなりません。一般的に、代理店の報酬は販売実績に対する販売手数料になりますので、固定費が増えることがありません。つまり、代理店展開する企業としては、「売れなかった時のリスク」が最小化できることになります。
②営業時のコストと工数の削減につながる
営業の主な基本フローは、「Step1:見込リストの作成」→「Step2:アポイントの獲得」→「Step3:商談・提案」→「Step4:受注」という流れだと思います。しかし、代理店を活用するとこの流れが省略化されます。代理店は、主に既存取引先への提案を行いますので、Step1とStep2は既にクリアしているか、簡単に乗り越えられます。通常は、Step3から始まる為、受注に至る時間が相対的に短くなります。また、既存取引先への提案であれば、受注率も高くなりがちなので営業工数の削減にも繋がります。
③想定外のニーズを発見できる
商品・サービスを販売開始するにあたって、販売する先(顧客像)をマーケティングすると思います。そこで想定した顧客像をリスト化し、営業活動を開始するのが一般的です。しかし、自社主体で行うマーケティングには限界があり、本来は顧客像にピックアップすべき対象が漏れてしまうことも多々あります。しかも、それにほとんどの場合、気付くことがないので質が悪いといえるでしょう。そんな折に代理店から上がってきた案件で気付かなかったニーズを発見し、新たな販路を開拓するきかっけになる事例が出ています。これは、新たな販路開拓だけでなく、新たな販売手法の確立にも繋がるので、一気に売上を拡大するチャンスにもなり得ます。まさに、代理店展開することのメリットと言えるでしょう。
代理店展開をする前の心構え
既に代理店展開をしている会社はたくさんありますが、「これから代理店展開を始める。」という方も多いと思います。そこで、代理店展開をする前に知っておきたい心構えをお伝えしたいと思います。
代理店を活用する際には「貴社」と「代理店」との間にあるお互いの思惑を認識した上で、代理店の対応をしていくことをオススメします。
貴社が代理店に売ってもらいたい理由は、「売上の拡大」「販路の拡大」「固定費の削減」といったところがだいたいの理由になると思います。つまり、代理店本部側の要望はそんなに多くありません。
では、代理店が貴社商材を取り扱いたい理由はなんでしょうか?それは、「新たな収益源が欲しい」「自社の販路を有効活用したい」「独立・起業するので商材を探している」「フック商材が欲しい」「アップセルに活用したい」など十人十色です。つまり、貴社が想定していないような取り組みを希望されることが当たり前ということです。
これは決して悪いことではなく、貴社が想定していないような売り方を発見するチャンスにもなるので、代理店希望者との対応履歴はきちんと記録し、事業責任者が把握できるような仕組み作りが必要になります。
また、代理店には、貴社の商品・サービスを「売る義理が無い」ことを事前に自覚しておきましょう。「売る義理が無い」と聞くと冷たく聞こえるかも知れませんが、これは紛れもない事実です。つまり、10社の代理店ができたからと言って、10社すべてが実績をあげてくれることはまずあり得ません。良くても、せいぜい半分だと思っておきましょう。そうすれば、想定外の肩透かしを受ける食らうことも無いと思います。
代理店展開するために必要なもの
代理店展開するためには、事前に準備すべきものがあります。その中でも、これだけは最低限でも揃えておきたい3つをお伝えします。
①代理店契約書の雛形
②代理店に提示する提案資料
③代理店が使う販促資料
①代理店契約書の雛形
代理店展開を始めるにあたって、代理店希望者と取り交わす契約書が必要です。契約書は貴社の商品・サービスや募集形態によって内容が異なりますので、他社の雛形をそのまま転用することは避けた方が良いでしょう。
②代理店に提示する提案資料
代理店希望者が見つかった際に、貴社の代理店制度を説明することになると思います。その時に使う提案資料です。これは無くても構いませんが、あった方がしっかりしている印象を与えますし、話を相手に伝えやすくもなります。また、代理店契約は1人で決めることが少ないので、代理店側の社内会議で共有しやすいように資料化しておいた方が無難でしょう。
③代理店が使う販促資料
代理店が営業する際に利用する販促資料です。これは直販用の資料で代替できます。しかし、代理店から出てくる様々な要望に対応する為に、「冊子型のパンフレット」「チラシ型のパンフレット」の2種類くらいは最低でも用意しておきましょう。「チラシ型のパンフレット」は1枚チラシなので、持ち歩くときにかさばらなくて便利です。
代理店を募集する方法
代理店の募集方法は頭を悩ませる問題の1つですが、最もオーソドックスな方法は知り合いの方にお願いすることでしょう。知人であれば、大きな事業リスクがない限り、比較的スムーズに取り扱いを承諾してくれると思います。しかし、知人の数には限界がある為、すぐにあたり尽してしまうことが難点です。次のステップでは、代理店を公募するという方法になっていきます。公募の方法はテレコールやFaxDM、ホームページに掲載したりすることで一定数の反響が得られると思います。しかし、最も費用対効果が良いのは代理店募集サイトを利用することでしょう。様々なポータルサイトがありますので、一度お調べすることをオススメします。
実は、このような「代理店を公募する」段階からが本当の代理店募集と言われています。この段階で初めて、貴社の商品・サービスや、貴社の代理店制度についての真価が問われてきます。これまでやってきた知人とは違って、公募した代理店と貴社との間には強い信頼関係はありません。関係性が薄い故に、「良くない」「儲からない」と判断されれば代理店希望者はすぐに去っていきます。この段階で初めて、代理店制度に問題があることに気付く方も多いです。
代理店に売ってもらう為に必要なこと
晴れて代理店契約を締結し、「これからどんどん代理店が売ってくれるぞー」と期待している方・・・。代理店展開はそんなに甘いものじゃありません。確かに、最初は代理店も頑張ってくれるかも知れません。しかし、そのままでいると代理店は徐々にフェードアウトしていきます。これは何故でしょうか?
代理店が徐々にフェードアウトしていく理由は、サポートの薄さに関係しています。代理店サポートと一言にしても様々なサポートの意味が含まれますが、ここで言う代理店サポートとは主に下記3つを指します。
①代理店に対しての研修・説明会
②代理店に対しての適切な販売フォロー
③本部としてのマーケティング活動
①代理店に対しての研修・説明会
新たな商品・サービスを取り扱う際の研修・説明会です。これは、最初の導入部分であり、その後の販売活動に直結する重要なポイントです。できる限り早い段階で、販売してくれる代理店の営業員と行うべきです。この研修後~1ヶ月くらいまでが、代理店モチベーションの最高潮にあたることが多いです。
②代理店に対しての適切な販売フォロー
代理店が営業すると、当たり前ですがお客様(エンドユーザ)から質問が出てきます。営業現場では、その質問に答えられない場面が必ず出てきてしまいます。この状況で、早急かつ適切なフォローをすることが販売数の増加に繋がっていきます。決して簡単なことではありませんので、しっかりした仕組み作りが重要です。
そして、ここで最も怖いのが「失注案件」です。「失注案件」とは、代理店が営業した後に、そのまま表に出てこない失注案件のことです。というよりも、ほとんど表に出て来ないのが普通と考えるべきでしょう。この「失注案件」はガン細胞のように徐々に代理店の販売意欲を蝕んでいきます。なぜかと言うと、代理店が売れないサイクルに陥ってしまうからです。
代理店の営業員は失注した際の状況や理由を、積極的に貴社へ共有しようとはしません。理由は様々ですが、「いちいち報告するのが面倒」「プライドが邪魔をする」などが主な理由でしょう。すると、代理店は問題点を改善できないまま営業を続けるので、また失注します。このサイクルを繰り返すことで、代理店の心理は、「この商材は全然売れない商材だなぁ・・・」という方向へ傾いていきます。すると、徐々に当該商材の提案を控えるようになっていき、自然とフェードアウトしていきます。
上記を未然に防ぐ為には、常に代理店の活動状況や提案履歴、失注案件を貴社がチェックできる環境を構築することが必要です。
③本部としてのマーケティング活動
代理店が売る理由は様々ですが、「売りやすいから」というのは大きな理由になるでしょう。例えば、テレビCMで広告が流れている商材と、まったく広告されていない商材では前者の方がお客様に売りやすいことは明確です。例えば、東証1部上場企業のサービスと資本金100万円の会社のサービスでは前者の方がお客様からの信頼度は高いでしょう。これは仕方のないことですが、「本部としてのマーケティング活動」とはこのようなことを意味しています。つまり、どのような形であれ、代理店が売りやすいように本部としての援護射撃をし続けることが重要ということです。
代理店展開を継続して行う為に必要なこと
最後に、代理店展開を継続して行う為に必要なことをお伝えします。前述、代理店展開には準備~募集~販売サポートまでのステップがあることはお伝えしました。これは、あくまで貴社の代理店展開におけるビジネスモデルになりますので、これだけでは継続した代理店展開の為には不十分と言うことになります。つまり、実務部分でのマネジメントが抜けているということです。属人的な代理店管理では、仕組みとしては不十分であり、継続的な代理店展開には結び付きません。代理店展開を成功させる為には、常に代理店の活動状況や提案履歴を貴社がチェックできる環境を構築し、代理店展開を可視化することが必要です。
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ここでご紹介した基本的な代理店の活用方法を確認した後は【永久保存版】代理店の仕組みや形態まとめを押さえましょう。