代理店展開することのデメリットや事業リスクまとめ

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代理店展開は人件費などの固定費を上げずに販路拡大できる為、基本的にはメリットが大きい施策になります。しかし、メリットがある反面、多少なりともデメリットやリスクが存在しますので、その点をあらかじめ把握した上で代理店展開されることをオススメします。

そこで今回は、代理店展開することのデメリットやリスクをまとめました。代理店展開する前に知っておくと良い情報になりますので、ぜひご確認ください。

【目次】

・代理店を活用することのデメリットとリスク
①代理店に営業を依存する為、代理店のさじ加減で売上が増減する
②代理店に営業を依存する為、売上予算が立てにくい
③営業時に直販と代理店がバッティングして無駄なクレームになる
④代理店が誤った営業をすることで貴社が信頼を失う、又はビジネスチャンスを失う
⑤他に儲かる商材が出てくると、一斉に代理店が離反するリスクが常にある
・過去の失敗事例から学ぼう!
①商材の売り方・販路が分からない本部
②類似商材ビジネスモデルに比べ代理店手数料などの条件が極端に悪い
③代理店契約時の初期費用の内容が不透明であり類似商材に比べ高額
④代理店に不信感を与えるような対応
・代理店展開を継続して行う為に必要なこと

・代理店を活用することのデメリットとリスク

先にも記述しましたが、代理店展開は人件費などの固定費を上げずに販路拡大できる為、基本的にはメリットが大きい施策になります。しかし、メリットばかりという訳ではなく、デメリットとリスクも同時に存在しています。以下が主なデメリットとリスクです。

①代理店に営業を依存する為、代理店のさじ加減で売上が増減する

代理店は他社になるので、一般的にはノルマを課すことが難しいと言われています。よって、代理店側の販売計画によって貴社の売上も大きくブレてしまいます。もちろん、貴社の意思に反するようなケースも出てきます。

そこで、代理店の販売数に対して強制力を持たせることができるやり方を試してみましょう。方法としては、特別インセンティブを設定することです。「●件の販売実績で▲円のインセンティブを支払う」などのキャンペーンを設定したり、「●件販売した場合、それ以後の代理店手数料は▲円にアップする」などです。これで、ある程度の効果を見込むことができます。

②代理店に営業を依存する為、売上予算が立てにくい

前述と似た内容になりますが、代理店は他社になるので動きを完全に把握することが困難です。また、厄介なことに、貴社と代理店が考える予算に関しての思惑は一致していません。どういう意味かと言うと、貴社は「代理店毎の販売予算(計画含む)が欲しい」となります。しかし、代理店側の心理としては、「できる限り数字のコミットをしたくない」と反対の思惑があります。もちろん例外はありますが、これが一般的な考え方になります。

よって、代理店経由の売上予算が立てにくいということになってしまいます。こちらも、特別インセンティブを設定することで、ある程度の予測ができるようになると思います。

③営業時に直販と代理店がバッティングして無駄なクレームになる

代理店展開を始めると、必ず生じる問題が営業バッティングです。これは既存顧客だけでなく、見込顧客でも起こります。既存顧客の場合には、最悪のケースではクレームに繋がる場合がありますので注意が必要です。見込顧客の段階ではクレームまで至ることは少ないと思いますが、無駄な値引きをしなければいけない可能性が出てきます。これは、見込顧客からすると、同じ商材を2社から提案受けることになるので、相見積もりの感覚で値引き交渉がしやすくなってしまうからです。どちらにしても、無駄なクレームや、無駄な値引きを避ける為の仕組みを事前に用意しておく方が賢明です。

④代理店が誤った営業をすることで貴社が信頼を失う、又はビジネスチャンスを失う

先にも記述した通り、代理店は他社になるので動きを完全に把握することが困難です。一番厄介なことは、現場で誤った提案をしていることが把握しづらいことです。

残念なことに、貴社が代理店の受注案件を把握することは容易ですが、失注案件を把握することは非常に困難です。代理店側から積極的に報告されることは皆無だと思ってください。実は、この失注案件こそが代理店展開を成功させる上で最も重要なポイントの一つです。ここを改善することで、次回の失注が受注に変化する可能性すらあります。また、改善できずに放置することで代理店は失注を繰り返し、売れない商材から自然に撤退していきます。せっかく獲得した代理店が去ってしまうことで、ビジネスチャンスも逃すことに繋がっていきます。

⑤他に儲かる商材が出てくると、一斉に代理店が離反するリスクが常にある

例えば、競合他社が貴社と同じクオリティーのサービスをリリースして、貴社より多めの代理店手数料を設定した場合、貴社の代理店が一斉に移動してしまうリスクがあります。しかも、その競合他社が上場企業のように資金が潤沢にある場合にはとてもかないません。過去に、ある上場企業が後追いで参入してきたにもかかわらず、相場の2倍程度の代理店手数料を設定し、代理店が一斉に動いたことがありました。代理店展開では、常にそのようなリスクがついて回ります。

どれも非常に悩ましい問題で、解決するのが難しい問題です。しかし、代理店展開を始める前に知っておくことで、多少なりとも事前対策をすることができ、リスクを小さくすることができると思います。

・過去の失敗事例から学ぼう!

過去に、私がかかわった代理店展開で失敗した事例をご紹介します。代理店展開のご参考にしていただけると幸いです。

①商材の売り方・販路が分からない本部

この代理店本部は、初めて代理店を募集するタイミングでご支援させて頂きました。良い商材が出来たので、代理店展開をしたいという意向でした。しかし、代理店展開をする上での考え方が誤っており、結果的に上手くいきませんでした。

この代理店本部の考え方は「代理店側からやりたいと言ってきているのだから、売ってくれるに決まっている」でした。結果的に、これは大きな誤りでした。この代理店本部は、商材を新規に開発しただけで、その売り方やノウハウを持っていませんでした。よって、代理店から売り方を聞かれても答えられないという状況でした。すると、代理店も売り方がわからないので売れないという悪循環に陥りました。

この事例の教訓は、代理店展開する際には、「こうすれば売れるという方程式」も同時に提示する必要があるということでした。

②類似商材ビジネスモデルに比べ代理店手数料などの条件が極端に悪い

特にブランド力がある会社やサービスに多い傾向ですが、同業他社と比較して極端に代理店手数料などの条件が悪いケースがあります。単純な話ですが、条件が悪いと代理店は売りたがりません。もちろん、条件が極端に悪い反面、売りやすいという商材であれば別ですが、このケースは違いました。結果的に、代理店が集まらず、上手く軌道に乗せることができませんでした。

③代理店契約時の初期費用の内容が不透明であり類似商材に比べ高額

代理店契約をする際に初期費用を設ける場合があります。初期費用自体は問題ありませんが、その内容が問題になる場合があります。

このケースでは、代理店募集に掛かるコストを初期費用で回収したいという安易な考えで、初期費用を30万円で設定していました。その内訳は研修費など非常に不透明で、代理店希望者に不信感を与える内容になっていました。結果的に、代理店が集まらず、代理店募集に掛かるコストも回収できませんでした。

初期費用を設定する際には内容が妥当であること、また明確であることが重要です。

④代理店に不信感を与えるような対応

代理店契約を終えると、代理店との連絡が多くなってきます。特に積極的に頑張っている代理店ほど連絡してきます。大変うれしいことですが、対応を間違えると代理店に不信感を与えてしまい、最悪のケースでは代理店契約の解除になりかねません。

とある代理店から聞いた話です。「代理店契約した本部の担当者の対応に不満があり、契約先の変更を検討している。」とのことでした。結果的にその代理店は、競合他社に代理店契約を切り替えることにしていました。

代理店が連絡してくる内容は、「受注する為の情報収集」であることがほとんどです。つまり、その先にはお客様(=エンドユーザ)がおり、代理店はその時に対応できなかったお客様を待たせている可能性があります。よって、代理店本部の担当者は迅速な対応が必須で、マメな気遣いも必要です。このような対応は、現場レベルの属人的な対応になってくる為、マネージャーは注意して把握していくことが必要です。

・代理店展開を継続して行う為に必要なこと

最後に、代理店展開を継続して行う為に必要なことをお伝えします。代理店展開をするにあたって、様々な点に注意してリスクを最小限に抑えることが必要です。しかし、これはあくまで貴社の代理店展開におけるビジネスモデル部分になりますので、これだけでは継続した代理店展開をするには不十分と言うことになります。つまり、実務部分でのマネジメントが抜けているということです。属人的な代理店管理では、仕組みとしては不十分であり、継続的な代理店展開には結び付きません。代理店展開を成功させる為には、常に代理店の活動状況や提案履歴を貴社がチェックできる環境を構築し、代理店展開を可視化することが必要です。

代理店展開を可視化するクラウドサービス「代理店Master(マスター)」

ここでご紹介した基本的な代理店の活用方法を確認した後は必ず押さえておきたい代理店の活用方法まとめを押さえましょう。